先日、パスポート用の証明写真を撮ってびっくらこいた。
コロナ禍で期限切れとなった赤いパスポート写真をじっくりと眺めた後の写真撮影。1回目に撮り終えた写真が10年経った自分の顔だったからびっくりした。すごくおばさんでびっくりした。別人レベルでシャキッと感がなくなっていて、正真正銘のおばさんだった。
前回はビシッとタイトにセンター分けをして髪をくくり、レフ板効果のある白シャツ、顔の中のパーツも引っ張られてキリッ(ドヤァ)としていて、それはそれは爽やかな女性だった。
しかし今回はもれなくゆるゆる(たるみとも言う)とした、全体的に緊張感がゼロの自分。そして黒シャツを着てしまってどんよりくすんだ姿だった。
それに加えて、1回目の撮影のときは「無表情がいいだろう」と思って真顔で挑んだから、これはもう、、背景が違っていたら「ある日突然逮捕されたすっぴんのままの犯罪者」のような、、それはそれは酷い写真だった。証明写真を撮るというのに、光で色々飛ばされるのを忘れてアイメイクがゼロだったのも敗因の一つだった。
これはいかんと焦り、2回目の撮影。今できることは口角を上げ、顔に緊張感を持たせるくらいだ、、と思い、CAさんの気分で挑んだ。
口角を上げ、アゴ肉にも神経を集中させ、不自然にならない可能な限りのエネルギーを口元に注いだらずいぶんといい顔になった。
口元の緊張感のなさはきっと、長期間のマスク生活のせいだ。これはもう本当に気をつけた方がいい、と悟った。
スーパーで買い物をするとき、カフェでお茶をしているとき、本屋さんで次に読む本を吟味しているとき、、オンラインで打ち合わせやお茶会をしているとき、、、きっと私の真顔は「愛想ない不貞腐れた顔」だったに違いない。
そんな出来事を夫に話し、さらに(口角効果でマシにはなったもののおばさんになった)証明写真を見せ「ねぇ、ちょっとこれ見てよ、別人じゃなな〜い!?」と言ってみたら夫からの返答は
「もう見慣れてるから、これ、いつもの顔だよ。」
だった。ほんまかいな。
こんな顔をいつも見せてたのね!!!と衝撃を受けたと同時に、どうやら私がいつも鏡で見ていた自分の姿は妄想の中の自分だったということにも気づいた。
常に人に見られる、撮られる仕事をしている人は、年齢を重ねてもずっと美しい。気付くチャンスがあるから。
カメラを向けられても逃げないでいい自分でありたい、なんなら現実をたくさん撮ってもらって改善してみたい、そう思った。
とにかく、今回の要点は「口元のゆるみは自分が思っている100倍の影響がある」ということ。
しかし、色々ショックを受けつつも、ひとつだけいいことがあった。
表情はやわらかくなっていた。
ドヤ感が消えていた。10年前に身に纏っていた鎧は、いつの間にか全て脱ぎ捨てられていたようだ。私の夢は、シワシワでもいいからくしゃっと笑みが浸透したおばあちゃんになること。マスクなし生活の口角意識で、叶いそうな気がしてきた。